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【コラム】HD-PLCのはなし。IEEE1901正式採用を受けて。
久しぶりにコラムなんかをエラそうに書いてみることにしました。まず一発目としてHD-PLCに関して。

アマチュア無線界では折りしも11/21のJARL臨時総会に向けて喧々諤々な動きとなっているようですが、P社が主導するHD-PLC技術が、2010年10月に正式にIEEE1901の世界標準として採用されたというニュースは当局のtwitterのTLでも話題になることはなく、すでに過去の話のような扱い。まあ、2009年末にはほぼ世界標準として採用されるような流れにはなっていたし、今更ニュースになる話でもない。また、身の回りを見渡してもPLCモデムを使用しているユーザーにはお目にかからないし、それゆえに被害が発生したというような話もそれほど聞かない。それはそうだろう。既にあるブロードバンド網にHD-PLCが入り込む隙はない。では、今後のHD-PLCの今後の展開をHD-PLCアライアンスがどのように考えているかが重要になってくるのだけれども、最近、CEATEC JAPAN 2010においてHD-PLCアライアンス主催のセミナーが行われていたので、聴講してきました。ワタシの感想を織り交ぜながら、メモ書き程度にまとめてみたいと思います。

なお、HD-PLCの技術的な解説はここでは行いません。いろいろな側面で技術紹介をしているサイトが既に多数あります。

●コンセントLAN

「PLC」といっても一般のユーザーにとってはとっつきにくいのは確かであり、それゆえ拡販がうまくいっていないということは認めていらっしゃるようで、最近では「コンセントLAN」という名称を用いて拡販をされているようです。

 ・「我が家にコンセントLANを導入しよう」(Panasonic社WEBサイト)

ただこの名称も日本においては普及しているとは言いがたく、Googleで検索してもHD-PLCとしての意味での「コンセントLAN」が現状で上位に上がらないなど、エンドユーザーに訴求するには、道のりは険しいと感じます。

また、ひかりTVが認定した宅内ネットワーク機器としてHD-PLCの機器も使用可能としているようですが、こちらも補助的な役割としか言えず、セミナーの講師もさらっと説明しただけででした。

 ・「「ひかりTV動作確認済」認定がスタート、PLCアダプターなど3製品」(Internet Watch)

●海外への展開

まずは、中国での展開についての報告。中国では現在三網融合政策を推進している。ここでいう三網とは、通信・放送・インターネットのことである。この三網を融合しちゃいましょうというのが中国の国家戦略。日本国内では「放送法」「著作権法」という厚い壁のため、このような政策を進めるにはコンテンツホルダーを納得させる必要があり、政策の実現は非常に困難ですが、知的財産権に対して非常にルーズな中国ではさらっとやってのける可能性が高い。その三網融合のインフラとしてIEEE802.3(有線LAN)、IEEE802.11(無線LAN)と合わせて国内標準化が検討されているのがIEEE1901なのです。
 
 ・「中国の家電ネットワーク化は「HD-PLC」で実現」(NIKKEI NET「HD-PLCマガジン」)

続いてはブラジルでの展開。ブラジルではHD-PLCを利用した電力メータを国家プロジェクトとして検討が既に始まっている。ブラジルでは国内問題として盗電の問題があるのですが、その解決策としてHD-PLCを採用するというもの。簡単に言えば電気の使用量をHD-PLCを介して電力会社と契約者に通知する技術です。

 ・「ブラジルで進むインフラ充実に力を発揮」(NIKKEI NET「HD-PLCマガジン」)

また、ブラジルでは全ての小学校をインターネットで接続する国家プロジェクトがあります。何でも「ブラジルの子どもたちは、インターネット利用時間が世界で最も長く、週平均 18.3 時間である。」(ノートンオンラインファミリーレポートより引用)とのことで、国を挙げて情報化への取り組みが高いとのであろうという動きが伺えるわけですが、ブラジルの地方では電力線を敷設するだけでブロードバンド網がまだ敷設できていないところが結構あるらしい。こういった地域では新たに大幅なインフラ投資を必要としないHD-PLCが普及する素地があるわけで、これは何もブラジルに限った話ではなく、途上国全体に普及すれば大きなインパクトになりえる可能性があります。

 ・「ブラジルで進むインフラ充実に力を発揮」(NIKKEI NET「HD-PLCマガジン」)

海外展開の拡大は非常に重要で、HD-PLCが普及するとそれだけLSIのチップセットが安価になり、よりいっそう広まることが考えられます。IEEE1901採用を受けて既にP社ではライセンス供与を開始させており、海外展開に向けての準備が進んでいることが伺えます。

●HD−PLCのこれからのターゲット

セミナーでは2つの事例について説明がありました。1つはネットTVの普及への対応。「ネットTVといえばKeyHole TVのことですか?」と聞かれそうですが、ここではそういったアングラ的なものではなく、近い将来本格的に日本上陸を果たすであろうGoogle TVに代表されるそれでのこと。現状でもUstream、Youtube、ニコニコ動画、Yahoo! TV、Gyaoなど動画配信サービスがありますが、それだけでなく、家電という家電何でもかんでも無線接続してしまおうという流れが現在あるわけで、そうすれば2.4GHz帯の無線LANではまかなえ切れないわけで。その対応として5GHz帯があるわけですが、5GHz帯の問題点として直進性と消費電力が大きいことを問題点として挙げています。そこで(機器メ−カーは不明だが)無線LANとPLC一体型ルーターの設計(なのか審査なのかよくわからなかったが)を総務省に打診したところ、了承を得たという話であった。PLCは無線LANによる回線接続を補完する上で利用する。個人的には製品価格上げてまでそこまで必要なんかなあと思うのだけれども、ネットTVは通常のインターネットに比べて接続が切れたときの視聴者のストレスが高いという点でこの一体型ルーターの普及に期待を寄せている感じでした。

もう1点は昨年から急にクローズアップされてきたスマートグリッドへの応用。スマートグリッドの肝の技術の1つとしてパワーマネジメント技術があります。電力の監視・制御を行う上でPLCの技術が不可欠となっています。

例えば、電気自動車への充電PLCに目を向けてみると、標準化作業が現在行われている中、自技会としては低速PLC(注1)を標準化しようと画策しているが、当然ながら高速PLCはどうなの? という話になる。分電盤におけるロスの話もある。確かに低速PLCについてはここ最近LSIを新製品として発売されている動きがあり、日本では1〜2年後に充電PLCが搭載された車が発売されるとの話も聞きます。

 ・「第10回電気自動車充電用インタフェース標準化 (PT3, 4 分)」報告書 (自動車技術会)

そして、パナソニック社は今週開かれたITS世界会議で自動車向けのPLCの可能性を提唱している模様。

 ・【ITS世界会議10】パナソニック、PLCを自動車にも応用か(レスポンス)
また、HtoV、VtoH(注2)や太陽光発電が広まってくると、電力会社がその電力を制御する必要があるが、例えば夏季では住宅から発電される電力が著しく増大した場合、電力会社は電気の質を維持するために迅速に配電システムを制御する必要があるが、その際、現状の低速PLCでは追いつかない可能性が指摘されている。東京電力は低速PLCでは制御に必要な通信量が足りないため、光ファイバーを配電網すべてに張り巡らせることを検討しているよう。下に示した東京電力の検討例は住宅から電力線への送電の話であるが、HD-PLCが屋外で使用できればこんな面倒なことは必要ないと思う。この件については、ブログ「太陽光発電なんでも情報」が明るい。

 ・「東京電力スマートグリッドへの対応本格化−戦略チームで行程表」(日刊工業新聞WEBサイト)

●HD-PLCがIEEE1901として採用された現在における、今後に向けて進むべき方向性

以上に示したとおり、グローバルに、また近い将来において、PLCは今後廃れていく技術ではなく今後発展していく可能性がある技術分野であることを示した。この世界標準は日本が主導権を取って勝ち取っていった分野であり、世界に売り込む技術として期待できる分野でもあります。電機メーカーをはじめ、電力会社はもちろんのこと、送電網を持っている電線メーカー、世界に対してまだまだ市場を持っている車メーカー、ECUメーカー、ハーネスメーカーといった多岐にわたる日本企業がPLCを通じて世界に打って出るチャンスがあるものと考えている。

確かにPLCが及ぼすノイズの問題は時に深刻な問題をはらみ、アマチュア無線をはじめ既存のHF帯における通信、電波天文に対して影響を及ぼす可能性があることは知っています。だが、世界標準となった以上、PLCに参入してくる企業は今後増えていくのだろうし、設置機器数も増えていくのだろう。妨害を受ける側はある程度割り切って考える必要があるのでしょう。

ところで、世界中で日本だけが屋外でHD-PLCを使用することができない状況があります。これは国内において研究・開発・拡販を行う上でハードルとなっています。わが国が世界標準の主要技術を持っているにもかかわらず、現在の状況は好ましい状況であるとはいえない。折りしも管首相は今週行われた知的財産戦略会議上で日本が持つ特許や技術を世界標準とする国際標準化戦略を加速させるよう指示している。であるならば、現在のHD-PLCが国内では屋外の使用が禁止されている状況はおかしく、世界標準にあわせるよう規制緩和を行うだろう。セミナーの席上、政府の行政刷新会議規制・制度改革分科会において内閣府は2011年度中に結果を出すとする話も出た。HD-PLCアライアンス側は屋外での使用ができるよう政府への働きかけを強めてくるでしょう。

 ・「国際標準化戦略「策定加速を」首相」(日本経済新聞WEBサイト2010年10月26日)

アマチュア無線家にとっては厳しい話ですが、ここまできたら後戻りすることはないわけであり、現実を受け入れなければならない。「アンタはHFをやらないからそんな他人事のような言えるんだ」という声も聞こえてきそうです。まあ、その声を否定はしませんが、実は、IEEE1901の標準にはオプションで50MHzへの拡張に関しても規定されており、より高速通信が求められる場合には現状の30MHzからさらに周波数が上がる可能性については知っておくべきでしょう。

(注1)低速PLC:10〜450kHzで行われる電力線通信。通信速度はおよそ9600bps。日本では屋外での使用が高速PLCと違い認められている。
(注2)HtoV:住宅から電気自動車に充電する電気の流れ。VtoH:自動車を走行している際にに蓄電した電力を住宅に供給する電気の流れ。要するに電気自動車が住宅に対する2次電池として機能する役割。

| こらむ | 23:11 | comments(0) | trackbacks(0) |









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